電気は不思議な性質を持っています。電気を「電気のまま」貯めることができないのです。水ならば凹型の入れ物があれば貯めることをできます。コップ、ペットボトル、プール、ため池など、水をためる方法はいくらでもあります。

ところが電気は「蓄電池」という機器を使って電気エネルギーを化学エネルギーに変換して初めて貯めることが可能になります。

しかしエネルギーの形は変化するけれど、電気を貯める方法があるということは私たちにとって便利な事であり、日常生活で直接的に、または間接的に蓄電池にお世話になり、社会生活上、必要不可欠な存在になりつつあります。

今回は家庭用として蓄電池を使用した場合のメリット、デメリット及び太陽光発電と併用した場合のメリットとデメリットについて具体的にわかりやすく解説します。

蓄電池とは?

蓄電池は「電気をためる機器」という認識で間違いはないのですが、正確に表現すると電気を貯める(充電)時は電気エネルギーを化学エネルギーに、使う(放電)時は化学エネルギーを電気エネルギーに変換する「エネルギー変換器」なのです。

蓄電池は車のバッテリーなどに使われている歴史のある「鉛蓄電池」、携帯電話やパソコンのバッテリーとして使われている「リチウムイオン電池」、鉄道用などに使われている「ニッケル水素電池」、大規模蓄電用の「NAS電池」の4種類があります。

蓄電池は必要?太陽光発電と組み合わせるとお得?

結論を先に言いますと蓄電池は「必要(保有すべき)」と言えます。蓄電池単独でも、あるいは太陽光発電と組み合わせても経済的、社会的、精神的に安心で「お得」と言えます。

まず蓄電池単独で使用した場合を見てみましょう。電気は一般的に昼間、人間が活動している時に比較的多く使い、夕食後から一家団欒の時間(19時~23時)に使用量がピークとなり、23時以降、ベッドの向かう時間からは冷蔵庫や一部の照明機器を除き電気を使いません。

夜間電力(23時~朝の7時)は単価が安く(10円~12円/kWh)、昼間の電力(25円~27円/kWh)に比べると半値以下に設定されていますので、この時間に蓄電池を利用して安価な電力を貯めて(充電)おきます。そして蓄電した電気を昼間に利用(放電)します。

太陽光発電と蓄電池を組み合わせて使った場合はどうでしょうか?太陽光発電は夜間の発電量がゼロで、昼間に発電し自家使用した残りの電力を蓄電池に貯めておきます。そして今度は夜間にその電気を使います。

蓄電池の寿命と耐用年数

蓄電池の「寿命」という言葉をまず定義しておきましょう。動植物の寿命と言えば「終わり」を意味しますが蓄電池はそうではなく蓄電能力がある一定程度減少した状態を言います。

さらに寿命に2通りの表現方法があります。1つは使用年数であり、もう1つは回数です。回数というのは充電と放電を1セットとして何回充放電が可能かということです。

そういう意味で蓄電池は寿命が来ても「終わり」ではありません。蓄電能力は低下していますが蓄電池としての働きはまだあるのです。それでは蓄電池の種類別寿命を表にしてみましょう。

 鉛蓄電池リチウムイオン電池ニッケル水素電池NAS電池
寿命(回数)3,000回4,000回2,500回4,500回
寿命(年数)17年10年7年15年

またリチウムイオン電池は技術開発が進み、メーカーによっては寿命(回数)が10,000回、寿命(年数)が15年をうたっているメーカーもあります。

家庭用蓄電池設置のメリット5個

先ほども述べましたが電気は電気として、そのままの形で貯めることはできません。電力会社の苦労はその辺りにあるのでしょう。もし超大型の蓄電池があれば電力会社の苦労は半減するでしょう。

さて、一般的に昼間使用する電気は足らないことがあるのですが、夜間必要とする電気は少なくて済み電力は余る傾向にあります。日本全国の家庭に蓄電池が設置されれば日本の電力事情は一変するでしょう。

蓄電池の「電気を貯める」機能が以下に述べる5つのメリットを生み出しています。

①夜間電力を貯めて昼間に利用できる

蓄電池単独で導入する場合は、単価の安い夜間電力を貯めて昼間に利用する「節電グッズ」として活用できます。夜間電力は昼間の半値(昼間は25円~27円/kWh,夜は12円・kWh前後)

標準4人家族なら、ライフスタイルにもよりますが、昼間の電力使用量3、000kWh×(25円-12円)=39,000円/年間の電気代節約になります。

②固定価格買い取り後の自家消費に活用できる

2009年に設置、発電を開始した太陽光発電(家庭用)は2019年に固定価格買い取り制度が終了します。その後は引き続いて電力会社に売却するか(7円~8円/)自家消費するかの判断を迫られます。

標準的な仮定をおいて損得計算をしてみます。4KWの家庭用太陽光発電を保有しているとしましょう。標準家庭の年間電力消費量は5,500kWhで、太陽光発電から得られる電力は年間で、1,100×4=4,400kWh,単純計算では1,100kWhを電力会社から購入する計算になります。

しかし実は太陽光発電で得られる電気は昼間(おおよそ6時~18時)に限定されます。年間電力使用量を昼間と夜に分けてみます。資源エネルギー庁のデーターから類推して、昼間の電力使用量を3,000kWh、夜間を2,500KWとします。

太陽光発電の発電は全て昼間ですから、売電可能電力量は従って、4,400-3,000=1,400kWhとなります。つまり売電金額に換算すると、1,400 × 26,4円(税込み)=36,960円という経済効果が生まれます。

蓄電池を保有していれば「自家消費」という選択ができますが、保有していなければ従来通りの売電しか選択肢はありません。自家消費による経済効果は、1,400 ×(25円-7円)=25,200円/年間となります。

③非常事態に対応できる

台風や豪雨などの原因で停電が発生した場合、蓄電池があれば心配いりません。蓄電池がないと「停電」しますが、もし蓄電池があれば電気を使い続けることができます。発生確率は低いですが、1分1秒を争うような大切な仕事中にパソコンが使えなくなれば致命傷になる可能性を秘めています。

また日頃から非常事態に対応できるという心の安心があり、余裕ある日常生活を楽しめます。金銭には換算できませんが「心の余裕、安心感」はとても重要なことです。

④太陽光で発電した電気を貯め夜間に使う(節電効果)

太陽光発電とセットで蓄電池を導入した場合は昼間に発電し余った電気を蓄電池に貯めておき、夜に使います。太陽光発電の発電容量と蓄電池の蓄電容量を最適に設計すれば、電気の「自給自足」可能になります。

その場合は標準的4人家族なら5,500kWh × 25円/kWh=137,500円/年間の電気代節約になります。その上に自給自足ですから停電などの緊急事態にも対応でき、心の安心を得ることができるでしょう。

⑤省エネ、CO2削減になる

電気を貯める方法として知られているのは揚水発電です。揚水発電は夜間、主として原子力発電で余った電気で使い水をくみ上げ(揚水)池などに貯めておきます。電気エネルギーを水(位置エネルギー)にして貯めておき、昼間のピーク時に水を流して発電します(発電原理は水力発電と同じ)

蓄電池はこの方法と目的は同じです。規模が小さく貯めるエネルギーが化学エネルギーという点が違っているだけです。電気はそのままにしておくと無駄に失われます。だから何らかの方法で「貯めておく」ことがいわゆる省エネ(無駄の排除)になるのです。

蓄電池はその役割を見事に果たしています。広い意味の社会貢献と言ってもいのではないでしょうか。電気の無駄を省くことで地球温暖化の原因になっているCO2を削減することができるのです。

家庭用蓄電池設置のデメリット2個

家庭用蓄電池が安くて寿命が長ければ、ほとんどすべての家庭に設置されるでしょう。しかし問題は設備費用と設置場所の確保です。つまり家庭用蓄電池のデメリットは価格と寿命、それから設置場所の確保ということになります。

①導入にお金がかかる

家庭用蓄電池を導入する場合、やはりネックは「お金」(設備投資費用)ということになります。技術開発によって蓄電池の価格は下がってきましたが、それでもなお2019年現在、蓄電容量1kWh当たり15万円前後が相場です。例えば8kWhの蓄電池なら、120万円かかります。

消費者の負担軽減と蓄電池の普及を促進するために都道府県、市区町村は補助金を予算計上しています。この補助金を活用することができれば効率的に蓄電池を導入することができます。この補助金を活用すれば投資費用が高いというデメリットを緩和してくれます。

②ある一定の広さの設置場所は必要である

蓄電池を導入するので当たり前と言えば当たり前ですが、蓄電池を設置するスペースが必要になります。広さとしては中規模で床置き式の蓄電池ならば、おおむね1メートル×50センチ×高さ1,2メートルくらいの空間が必要です。

また設置環境は風通しが良く、近くに熱源がないこと、メンテナンスができるスペースがあることなどが条件になります。一戸建て住宅ならそれほど問題はなさそうですが集合住宅の場合はデメリットになり易いですね。

家庭用蓄電池設置で失敗しないコツ5つ

大切なお金を投資して導入した蓄電池、失敗は絶対に避けたいし、成功したいですね。そのための5つのコツをお伝えします。ポイントはやはり業者の選択と情報収集です。

①信用できる業者を選定する

成功する第一条件かもしれない業者選び、鉄則に従って複数社に見積もりを出しましょう。そして各社の見積もりを比べて「違う」ところを見つけ、その理由をハッキリさせましょう。そこから値下げができる要素が見つかるかもしれません。

また値段の安さだけで業者を決定するのは危険です。安値の裏には「悪かろう」が隠れているかもしれません。業者の実績や担当者の誠実さなどを勘案して決めるべきです。何しろこの先15年以上にわたる長い付き合いの始まりで、信頼関係はとても大事な要素になります。

プラス面を強調する業者も要注意です。デメリットなどもきちんと伝えてくれる御者でないといけません。

②自治体の補助金を活用する

都道府県、市区町村の補助金(助成金)を活用することは大切です。場合によっては最大60万円の補助金(東京都)を受けることも可能です。お住まいの都道府県により女性学が異なりますので要確認です。

例えば設備費の1/3又は20万円を上限として補助を受けられる自治体に住んでいる場合、100万円の蓄電池なら、20万円の補助を受けられ、実質の出費は80万円となります。これを活用しない手はありません。

③設置、運用実績を知る

設備業者は過去の実績を把握していますが、それを検証することも大切です。すなわち蓄電池のユーザー側から見た運用実績を把握しておきたいです。友人や知人を介して実際に蓄電池を購入された人から「生の話」を聞いておくことは役に立ちます。

④メンテナンスを考えて設置場所を決める

蓄電池も使いっぱなしではなくメンテナンスが必要です。そのためには蓄電池がギリギリ置けるスペースではなくメンテナンスが可能な広さと環境が求められます。

蓄電池には吊り下げ式と床置式がありますが、風通しが良く、周囲には熱源(例えばクーラーの屋外機)のない場所が適当です。

⑤導入目的をはっきりさせて蓄電池を選ぶ

節電なのか、太陽光発電の有効利用のためか、はたまた非常用電源として使うのか、目的をはっきりとさせて導入しましょう。そうすれば最適な蓄電容量の蓄電池を購入できます。

非常事態用の電源として使用するなら、1kWh~2kWh程度の小型蓄電池で十分ですし、単価の安い夜の電気を蓄電池で貯めて昼間に使う目的なら、それ相当の蓄電容量が必要になるでしょう。

まとめ

家庭用蓄電池は電気を効率的に利用する機器であるため社会的必要性は高いものです。だから地方自治体は補助金を出してまで普及促進を図っています。蓄電池は電気代節約、非常事態への対応、省エネ、CO2削減など社会環境保護にもつながります。

蓄電池の設置には信頼できる業者を選び、正確な情報を収集し、メリットとデメリットを理解したうえで実行することが大切です。社会の流れは自然保護、電力の自由化、自然エネルギーの推進、HMESなど太陽光発電や蓄電池には追い風となっています。